切ないほどひたむきな走りで、時代をも変えた

競馬が大人の男性だけでなく、女性にも広がり、レジャーとして受け入れられるようになったと言える第二次競馬ブームは、オグリキャップなしでは語れない。

オグリキャップは応援したくなるファクターが揃った馬だった。旧４歳時に笠松から中央へ移籍すると、破竹の重賞６連勝で天皇賞（秋）に出走し、１番人気に支持される。タマモクロスとの芦毛馬対決が注目されたが、２着に敗戦。続くジャパンカップでも３着となるが、暮れの有馬記念では直線でタマモクロスより先に抜け出し、そのままゴールを駆け抜け、見事ＧⅠ初制覇を遂げた。

翌年にはマイルチャンピオンシップでＧⅠ２勝目をあげると、なんと連闘でジャパンカップに参戦。２着に敗れるも当時の芝2400mの世界レコードにあたるタイムで走破し、大きな称賛が寄せられた。

さらに次の年には安田記念に勝利するが、２着に敗れた宝塚記念後、脚部に故障を発症するようになり、それにつれて成績も低下。天皇賞（秋）は６着、ジャパンカップも11着に大敗してしまう。

だが、ファン投票第１位を受けて出走した有馬記念では、これまでの不振が嘘のような走りを見せて優勝。この日、中山競馬場に来た17万を超える競馬ファンは「オグリコール」で勝者を称えた。芦毛の馬体をデフォルメしたぬいぐるみは、競馬ファンの枠を超えた人気を集めるなど、競馬のイメージを大きく変えてみせた。