彼はキャリアを重ねながらスピードに磨きをかけた遅咲きの快足馬であった

祖母がオークス馬ダイナカールで、叔母に天皇賞(秋)などを制したエアグルーヴがいる超一流の牝系。その名門から出た初めてのスプリントＧⅠウイナーが、オレハマッテルゼである。

3歳春にデビューし、初勝利は4戦目、夏の小倉芝2000ｍで行われた未勝利戦。翌年1月に2勝目、5月にマイルの富嶽賞で3勝目を挙げた。このころからマイル以下の短距離を走るようになり、成績も安定し始める。

5歳秋のキャピタルＳでオープンクラス初勝利を収め、6歳になった2006年に東京新聞杯で2着、阪急杯で3着と好走し、高松宮記念に駒を進めた。これが初めてのスプリント戦だったが、持ち前のスピードで、好位を楽に追走。直線で鋭く抜け出し、重賞初勝利をＧⅠ制覇で飾った。

管理した音無秀孝調教師にとっては初めて、馬主の小田切有一氏にとっては21年ぶり、手綱をとった柴田善臣騎手にとっては６年ぶりのＧⅠ勝利となった。続く京王杯スプリングＣも勝利したオレハマッテルゼは、その力が本物であることを証明した。

短距離馬は早熟というイメージがあるが、この馬はキャリアを重ねながらスピードに磨きをかける、遅咲きの快足馬であった。

引退後は種牡馬入りし、産駒のハナズゴールがオーストラリアＧ１のオールエイジドＳを優勝するなど、優秀なスピード能力を繋いだ。