「稀代のオールラウンダー」として、競馬史にその名を強く刻みつけた

アグネスデジタルは、「競馬の常識」をいくつも覆す、華々しい活躍を見せた。

旧3歳だった1999年、川崎の全日本3歳優駿で重賞初制覇。翌2000年、ユニコーンＳでＪＲＡ重賞初勝利を挙げると、武蔵野Ｓ（2着）を経て、マイルチャンピオンシップへと駒を進めた。単勝55.7倍の13番人気という評価だったが、道中後方に控え、直線だけで10頭以上をごぼう抜きにし、ＧⅠ初制覇を遂げた。驚くべきことに、これが芝での初勝利であった。しかも、1分32秒6というコースレコード（当時）のおまけ付きだった。

古馬になった01年、芝で３戦勝ち星から遠ざかるも、戦いの舞台をダートに戻すと再び輝きを放つ。10月8日に盛岡で行われた交流ＧⅠのマイルチャンピオンシップ南部杯を勝ち、97年の統一グレード制導入以降初となる芝・ダート両方のＧⅠ制覇をなし遂げた。

次走は、「世紀末覇王」と呼ばれたテイエムオペラオーを筆頭に、メイショウドトウら強豪の揃った天皇賞（秋）。降りしきる雨のなか、アグネスデジタルは最後の直線で外から凄まじい脚で伸びて優勝。2着のテイエムオペラオーを1馬身突き放す完勝であった。続く香港Ｃで海外初勝利を挙げ、翌02年のフェブラリーＳ、03年の安田記念と、芝でもダートでもＧⅠ勝利を重ねた。芝・ダート、中央・地方・海外を問わず活躍した「稀代のオールラウンダー」として、競馬史にその名を強く刻みつけた。