「最強」「至高」「究極」、そんな言葉さえ置き去りにする衝撃

ディープインパクトはサラブレッドとしては小柄で、華奢にも見える馬体をしていた。ただ、どの馬よりも素軽く、そして速く、まさに飛ぶようにターフを駆け抜けた。

最後方からレースを進めていくと、武豊騎手が「飛んでいる感じ」と表現した走りで、他馬を一気に抜き去ってゴール。圧倒的な強さで皐月賞・日本ダービー・菊花賞を制し、その名の通り、衝撃を与えた。この３競走を無敗のまま制したのは、シンボリルドルフ以来、史上２頭目の快挙であった。

年長馬と初対戦となった有馬記念では２着に敗れたものの、翌年も連勝を重ね、日本中の期待を背負って世界最高峰のレースの一つであるフランスの凱旋門賞に出走。結果を残せなかったものの、そのショックを引きずることなく、帰国初戦のジャパンカップでは世界の強豪を退け快勝。続く有馬記念では前年の雪辱を果たし、見事にラストランを勝利で飾った。

デビューから14戦全てで１番人気の支持を集めるなど、競馬の枠を超えた人気ぶりと、その期待に応えてきた走りは、まさに国民的ヒーローと呼ぶに相応しい。

その産駒たちもまた、父を彷彿とさせるような走りで国内どころか海外のレースも席捲していく。今ではディープインパクトの血は世界各国にも広がっており、まさに世界を飛び回るような活躍を見せている。