キャリアやトレーニングを重ねるたびに、より速く、より強くなった

ミホノブルボンは3戦3勝で朝日杯3歳Ｓ(旧馬齢、以下同)を制し、最優秀3歳牡馬に選出された。しかし、朝日杯3歳Ｓがハナ差の辛勝だったことに加え、マグニテュードの産駒にはスピード馬が多いという血統的な面、首の高い走法などから、本質的には短距離馬ではないかと見る向きも多かったため、旧4歳初戦のスプリングＳでは単勝4.5倍の2番人気に甘んじた。

そんな前評判を吹き飛ばすようにスプリングＳを7馬身差で圧勝したミホノブルボンは、続く皐月賞でも2馬身半差をつけ完勝。どちらも持ち前のスピードを生かし、逃げ切っての勝利であった。

距離の不安を克服すべく、管理する戸山為夫調教師は、デビュー前からミホノブルボンに徹底したハードトレーニングを課していた。主なトレーニングの場は、栗東トレーニング・センターの坂路コースだった。負荷のかかる坂路調教を一日に4本こなすなどし、天性のスピードに磨きをかけながら、クラシックを戦うためのスタミナをつけていたのである。ミホノブルボンはキャリアを重ね、トレーニングを繰り返すたびに、より速く、より強くなった。

1992年の第59回日本ダービーでも圧巻の逃走劇を演じ、4馬身差で優勝。前年のトウカイテイオーに続く、史上5頭目の「無敗の二冠馬」となった。厳しい鍛錬により距離の壁を越えた名馬であった。