STORY 9 本田牧場 Honda Stable 取材後記

熊本県熊本市にある「本田牧場」。
2021年にヨカヨカが北九州記念(GⅢ)を制し、2023年にはイロゴトシが中山グランドジャンプ(J・GI)を制すなど、近年、この牧場出身の馬が活躍を見せており、ひいては九州産馬にも注目が集まっている。

競馬ファンとして、アスリートとして。
萩野公介が、いま注目の牧場を訪ねた。

イロゴトシの生まれ故郷「本田牧場」

———本日は本田牧場を取材・見学。熊本市内の本場だけでなく、阿蘇山の麓にある分場(高森ヒルズ)にも足を運んでいただきました。まず、代表である本田土寿さんの印象はいかがでしたでしょうか?

本田さんとは初めてお会いしましたが、ひとつひとつ丁寧にお話をしてくださる方で、馬に懸ける想いの強さというのがひしひしと伝わってきました。
牧場全体についてはもちろん、ここから羽ばたいていった馬の性格や思い出話、さらに九州の馬産についてなど、様々なお話をしていただきました。
この牧場は本田さん自らの手で造られたということですが、これほど立派な施設のほとんどが手造りであるということにまず驚かされました。手造りならではのぬくもりが感じられ、なおかつ本田さんやスタッフの方々が愛情たっぷりに馬と接しておられたのがとても印象的で、「本当に皆さん馬がお好きなんだな」というのを肌で感じることができました。
また、競馬場での活躍を見ていたヨカヨカやイロゴトシが生まれた場所を訪れることができ、感慨深いものがありました。
分場である高森ヒルズは今まさに建設中ということで、完成するのは数年後とのことですが、本田さんの構想を聞いているだけでワクワクしました。広大で起伏のある土地を見ていると、さらに強い馬を送り出されることを想像してしまいます。

九州競馬界や九州産馬について

———前回の宮崎育成牧場に続いて「九州の牧場」を訪れていただきましたが、何か感じるものはありましたか?

ヨカヨカやイロゴトシの活躍を受けて、僕自身、これまで以上に九州産馬に注目するようになりました。
ヨカヨカは現役を引退して、現在は繁殖牝馬として生活を送っていますし、その血統は今後も拡がっていくはずです。
今回、本田さんの温かい人柄に触れ、九州の馬産に対する想いも聞かせていただき、今後の九州産馬の可能性をすごく感じることができました。
ひとつの牧場の、1頭の馬、ひとつのレースだけで良い結果に結びつけるのは簡単なことではないですが、九州の皆さんでスターホースを作り上げていくという情熱や魂のようなものを感じることができました。
今回の取材を通じて、九州産馬をもっともっと応援したいと強く思いました。

「9つのSTORIES」を振り返って

———ここまでの各STORYを振り返って、どのような思いでしょうか?

第1回の競馬学校からはじまって、北は北海道、南は九州の牧場、さらにトレーニング・センターにも行くことができました。また、騎手や調教師の方ともいろいろなお話をさせていただきました。そのどれもが本当に素晴らしい経験でした。
競馬というのは、1着があれば10着もあるというシビアな世界ですが、結果にかかわらず、携わるすべての方にそれぞれ「大切な物語」があります。それぞれまったく異なるバックボーンがあり、違った想いがあったうえで、それらがひとつの「レース」というものに収斂しています。
そんな競馬というものが、僕は大好きだということを改めて深く感じることができる日々でした。
これまでに出会ったすべてのホースマンに感謝します。本当にありがとうございました!

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