STORY 6 栗東トレーニング・
センター
Ritto Training Center 取材後記

滋賀県栗東市にあるJRAの栗東トレーニング・センター。約150万平方メートル(甲子園球場約40個分)の広大な敷地の中に、6つのトラック型調教コース、全長約1キロメートルの坂路コース、競走馬スイミングプール、競走馬診療所といったさまざまな施設を有する。

日本ダービー3勝など数々のビッグレースを制しているトップトレーナーの友道康夫調教師と、2023年に調教師免許を取得し新たなホースマン人生のスタートを切った元ジョッキーの福永祐一調教師の案内で萩野公介が1日かけて現地取材。

競馬ファンとして、アスリートとして。
萩野公介が「栗東トレーニング・センターの1日」を振り返る。

友道調教師と福永調教師のダブル解説

———本日は栗東トレーニング・センターにて1日過ごしていただきました。友道康夫調教師と福永祐一調教師のダブル解説での取材となりましたがお二人の印象はいかがでしたか?

まずは貴重なお時間をいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

福永調教師は元ジョッキーで、今年から調教師生活をスタートされましたが、ご自身で考えていることを言語化するのがすごく上手な方だなと思いました。今日初めて栗東トレーニング・センターを見学させていただいて、わからないことだらけだったのですが、すべてにおいてわかりやすく説明してくださいました。

友道調教師は、これまでに何度かお会いしたことがあるのですが、改めてものすごく優しい方だなと思いました! あとは、獣医師免許もお持ちということを初めて知り、びっくりしました。いずれにしても、僕自身にとってはすごく貴重な1日となりました。

栗東トレセンという充実した施設

———栗東トレーニング・センターの施設全体の印象はいかがでしたか。

これだけ広い敷地ですので、競走馬の数の多さはもちろんですが、調教師の先生も100名ほどいらっしゃるということでスケール感がすごかったですね。まるでひとつの町のようでした。

広い施設を間近で見てみて、ウッドチップコースや芝コース、ダートコースなどに加え、坂路コースやスイミングプールまで、本当によりどりみどりというかいくらでも調教パターンが組める中で、それぞれの厩舎が馬の状態であったり、馬場の状況によってメニューを決めてやっていると思うと、改めてすごい仕事をされているんだなと実感しました。

———坂路やプールトレーニングはいかがでしたか?

坂路コースは映像ではよく見ていましたけれど、実際に歩かせていただいて、ウッドチップが思ったよりフカフカであり、傾斜はきつく、想像よりも距離が長いと感じました。僕が競馬好きになった大きなきっかけはミホノブルボンでした。血統だけではなく、トレーニングによって結果を出す姿に何度も励まされました。ミホノブルボン=坂路調教ということもあって、その現場である「栗東の坂路」を自分の足で歩くというのは感慨深いものがありました。

プールに関しては、心肺機能を高めるためのトレーニングや、疲労回復のために水の中で体を軽く動かすということは人間でもありますが、競泳選手にとっての水泳と競走馬にとってのプールトレーニングというのはやはり違うと思います。とはいえ、そのトレーニングをどういう風にレースにつなげるかという根本的な部分はすごく似ているなと思いました。

———馬の診療所も見ていただきました。

人間と馬とでは、身体のつくりも機能も違いますし、そもそも二足歩行なのか四足歩行なのかで全然違いますよね。でも全然違うからこそ、専用の道具や施設が必要だし、専門の知識が必要なんだと思います。

競走馬を怪我から救う確率を1%でも高くしたいという思い、その集合体が「診療所」という施設と、そこで働くプロフェッショナルな「スタッフたち」です。診療所では実際に診察している様子も見せていただきましたが、やっぱり真剣だから「みんなかっこいいな」と率直に思いました。

第二の人生へのワクワク感

———最後に、今日一日を振り返ってください。

友道調教師には、厩舎を見学させていただき、スタッフの方にもお話を伺いましたが、さすが日本を代表するトレーナーだと感じました。皆さんが意識を高く持ち、のびのびと働いているのは厩舎のトップが友道調教師だからこそだと思います。

一方の福永調教師は、「調教師として、全然分からないことがまだまだいっぱいあるから、日々勉強です」とおっしゃっていました。僕に対しても、競泳における怪我についてのデータや、疲労具合をトレーニングでどう解消していくか、さらにはどのようにパフォーマンスアップしてレースへとつなげていくのか、という質問があったのですが、違うジャンルからも何かを掴もうとされるなどとても研究熱心な方だなと思いました。それと同時に、新しいことを始めるワクワク感に溢れていると感じました。そのワクワク感が福永調教師の、新しい人生の1ページを彩っていくのだろうなと思いました。

僕はただのいちファンですが、ジョッキー人生を終えられて、新しい人生へと挑戦していく姿は、僕自身の刺激となり、活力になることは間違いありません。福永調教師が管理した馬をレースで見られる日が、いまから楽しみです!

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