栗東トレセンという充実した施設
———栗東トレーニング・センターの施設全体の印象はいかがでしたか。
これだけ広い敷地ですので、競走馬の数の多さはもちろんですが、調教師の先生も100名ほどいらっしゃるということでスケール感がすごかったですね。まるでひとつの町のようでした。
広い施設を間近で見てみて、ウッドチップコースや芝コース、ダートコースなどに加え、坂路コースやスイミングプールまで、本当によりどりみどりというかいくらでも調教パターンが組める中で、それぞれの厩舎が馬の状態であったり、馬場の状況によってメニューを決めてやっていると思うと、改めてすごい仕事をされているんだなと実感しました。
———坂路やプールトレーニングはいかがでしたか?
坂路コースは映像ではよく見ていましたけれど、実際に歩かせていただいて、ウッドチップが思ったよりフカフカであり、傾斜はきつく、想像よりも距離が長いと感じました。僕が競馬好きになった大きなきっかけはミホノブルボンでした。血統だけではなく、トレーニングによって結果を出す姿に何度も励まされました。ミホノブルボン=坂路調教ということもあって、その現場である「栗東の坂路」を自分の足で歩くというのは感慨深いものがありました。
プールに関しては、心肺機能を高めるためのトレーニングや、疲労回復のために水の中で体を軽く動かすということは人間でもありますが、競泳選手にとっての水泳と競走馬にとってのプールトレーニングというのはやはり違うと思います。とはいえ、そのトレーニングをどういう風にレースにつなげるかという根本的な部分はすごく似ているなと思いました。
———馬の診療所も見ていただきました。
人間と馬とでは、身体のつくりも機能も違いますし、そもそも二足歩行なのか四足歩行なのかで全然違いますよね。でも全然違うからこそ、専用の道具や施設が必要だし、専門の知識が必要なんだと思います。
競走馬を怪我から救う確率を1%でも高くしたいという思い、その集合体が「診療所」という施設と、そこで働くプロフェッショナルな「スタッフたち」です。診療所では実際に診察している様子も見せていただきましたが、やっぱり真剣だから「みんなかっこいいな」と率直に思いました。