萩野公介×JRA THE STORIES

STORY 4 矢作 芳人調教師 対談 Interview with Trainer Yoshito Yahagi 取材後記

今回、萩野公介が対談したい調教師として選んだのは、2021年度までにJRA賞最多勝利調教師に4度輝く、日本を代表する調教師・矢作芳人。競馬ファンとして、アスリートとして。萩野公介が「調教師 矢作芳人の思考」から感じたこととは。

競馬界を代表する調教師と会話を交わした「大切な時間」

———本日は矢作芳人調教師と対談していただきました。様々な話で盛り上がっていましたが、対談を終えての率直な感想はいかがでしょうか?

まず、今日はすごく緊張しました(笑)。僕は普段あまり緊張しないのですが、やはり矢作調教師は競馬界を代表するホースマンですので緊張しましたね。

僕に対してとても気さくにお話をしてくださり嬉しかったですし、こんなに凄い実績を残されていても「まだまだ一生勉強です」とおっしゃっていたりと、自分にとって有意義なのはもちろん、楽しくて大切な時間になりました。

その中でも、これまで管理された名馬についてや、これからの目標、競馬にまつわる様々なことをお話していただいたので、またさらに競馬の魅力に触れ、競馬をより好きになることができたなと思っています。

後進の育成、競馬界の発展。その考えから学ぶこと。

———競馬界全体の発展や、次世代へとつないでいくことなど、広い視野での話も多かったように思います。印象に残ったことはありますか?

「やっぱり、競馬が好きなんだよなぁ」とおっしゃっていたのが印象的でした。そういう気持ちをずっと持ち続けているからこそ、ジョッキーをはじめとする後進の育成など、競馬界全体のことを常に考えているのだと思います。自分が競馬界を盛り上げていくんだ、という強い気持ちを感じることができました。こういうホースマンたちが、あの素晴らしい「競馬」というものを作り上げているからこそ、我々ファンはその夢を一緒に追いかけたり、応援をできているのだなと改めて思いました。

———育成という点では萩野さんも現在大学院で学ばれているとのことですが、なにか得るものはありましたか?

僕はまだまだ勉強中なので、これから矢作調教師を見習っていきたいと思いますが、今日のお話の中で、「相手の立場になって考える」、「どういった伝え方をするか」、また「その先になにがあるのか」、といったお考えもお聞かせいただいて、とても勉強になりました。自分ではなく他者、さらには競馬界を常に考えて行動している方なんだなと感じました。矢作調教師のことをよく知っている方はみんな「人格者だよ」とおっしゃるのですが、本当にその通りで、もっともっとお話して多くのことを学びたいと思いましたね。

日本から世界に挑むということ。

———世界に挑んできた馬たちや、共に世界を飛び回る矢作調教師。萩野さんも世界という舞台で挑戦し、栄光を掴んできたアスリートです。日本から世界に挑むということはどういうことなのでしょうか。

矢作調教師とお話させていただいて感じたのは、ご自身が枠組みにとらわれていないということです。日本だからとか、世界だからとかだけではなくて、例えば調教方法や出走させるレースであったり、ひとつひとつの選択で、“常識”という枠組みにとらわれることなく挑戦されてきた。その過程には多くの失敗があったそうですが、「世界でトップになりたい」という気持ちを強く持ち、チャレンジを続けてきたからこそ今があるのだと思います。

僕自身で言うと、矢作調教師に「だって、日本一で満足しなかったでしょ?」と言われたのですが、本当にその通りなんですよ。誰かに言われて世界を目指していた訳ではなくて、自然とそうであったという方が正しい感覚です。自然と自分で世界に挑むという選択をして、活躍できた時も苦しんだ時もありましたが、全てが自分の選択の上で成り立っていることです。トップになりたいという気持ちとはなんなのか。それは矢作調教師がおっしゃっていた、「(競馬も水泳も)一緒だと思うよ。日本一で満足しなかったでしょ?」、その一言に尽きると思います。

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